• 肝臓にやさしい飲み方 (1998/11/01)

 忘年会、クリスマス、新年会とこれからは左党にとってうれしい時期。おおっぴらに酒が飲める。

 とはいっても、昔からいわれるように「酒は百薬の長」である一方、肝臓や脳の組織に障害を起こす「危険な薬」だ、飲み過ぎが高血圧、心臓病、肝臓病などのいわゆる生活習慣病によくないことはいうまでもない。特に、アルコール1グラムが7キロカロリーのエネルギー源となるため、エネルギーコントロールが必要な肥満や糖尿病の人は、用心するに越したことはない。

 酒が「百薬の長」である理由は、アルコールが脳の神経細胞を軽くマヒさせるためで、気分が開放的になるし、血管が拡張するので体が温まる。胃液の分泌を促して食欲を増進する。人によって代謝能力が違うので一概にはいえないが、ビール1〜2本、清酒1〜2合、ウイスキーのシングル2〜4杯程度なら、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすことで動脈硬化の予防にもなるという。

 そこで、肝臓をいためずにアルコールとつき合うには、食べてから飲むこと。アルコールはその20%が胃で吸収され、数分後には血液中に含まれる。パーティーで乾杯の5〜6分後には会場がにぎやかになるのはこのせい。特に胃がからっぽだと吸収が早くなり、悪酔いしやすい。食べてから飲めば吸収は遅くなる。

アルコールを分解する肝臓の働きを良くするためには、肉、魚介、卵、大豆製品など良質たんぱく質を十分にとること。チーズやハムもおすすめ。また、アルコール代謝にはビタミンB1が大量に消費されるので、ごま、豚肉、大豆もよい。もちろん、野菜も忘れずに。お酒をおいしく飲むために午後3時以降何も食べないとか、肴は塩だけといった飲み方は禁物だ。

(岸朝子)