• 中国のお酒 (1999/04/05)

北海道にも春の足音が聞こえてくるころ、爽やかな中国酒のオンザロックはいかが。氷をグラスいっぱいに詰めて、紹興酒を注ぐ。黄金色の輝きとかすかな酸味が私は好きだ。

中国酒の代表には、醸造酒の黄酒(ホワンチュー)と蒸留酒の白酒(パイチュー)がある。

黄酒はもち米と麦麹が主材料で、杜仲や桂皮などの漢方薬が加わる。アルコール度は14〜20度。名に陳年と冠されているのは5年以上ねかせたものでコクが増す。

紹興酒は日本で老酒(ラオチュウ)と呼ばれ、親しまれている。ぬる燗にしてもよく、常温でもよい。ロックにしてレモンの薄切りを加える人もいるが、これはせっかくの香味を損なう。また、氷砂糖を加えて飲むのは日本だけの風習。日本酒しか飲まなかった人たちに飲みやすくするための知恵だったのであろう。

中国大陸でも日本人の客には特別に氷砂糖をすすめる店もある。

白酒は日本の焼酎、泡盛に当たるが、材料はコウリャンなどの雑穀が主原料でアルコール度は20度以上。毛沢東主席が国民軍を破ってさらに進軍する途中、貴州省の人々が地元の白酒をふるまって元気づけたというのが芽台酒(マオタイチュー)。主席もこれを好み、中国政府公式の宴会では芽台酒で乾杯する。

私も二十数年前に北京を訪れた折り、これで乾杯した。主人側が最初に乾杯、客側が答礼で乾杯、さらに新しい料理が出る度に乾杯を繰り返す。杯は小さいが、なにしろアルコール度55度。おまけに中国式乾杯は一気に飲み干し、からになった杯を相手に見せるのがマナーだという。もっとも、飲めないときは乾杯と言わず、随杯と言えばよいときいた。ぼちぼち飲みますということである。

白酒に漢方薬や竹の葉を加えた薬用酒や、木犀の香りがする桂花陳酒、ハマナスの花でつくる正瑰露酒など女性好みの酒もある。

(岸朝子)