• 平和の古酒、本場泡盛 (1999/12/20)

「世界の目を沖縄に、沖縄の心を世界に」は、2000年7月に開催されるサミットのキャッチフレーズだ。米軍基地の移転などいろいろな問題を抱えてはいるが、沖縄サミットを成功させようと県民は燃えている。

私は生まれも育ちも東京であるが、両親は沖縄出身だから故郷は沖縄である。お酒に強いのも泡盛で鍛えた血筋のせいだと思う。

泡盛は焼酎乙類に入り、個性が強い酒。甲類はアルコール分36%未満だが、乙類は45%のものまである。サツマイモや麦などが材料の本格焼酎と区別して、泡盛は昭和58年から「本場泡盛」と表示するようになった。

インディカ種のタイ米を砕いたものを蒸して、黒麹菌でつくった種麹を加えて発酵させ、アルコール分を蒸留するもので、原料は米100%。そのままでも飲めるが、沖縄では昔からこれを熟成する習慣がある。第二次世界大戦以前には200年、300年ものもあったといわれるが、戦火で焼失して現在は3年ものから、10年、20年、30年ものが市販されている。

3年以上のものを古酒(クース)と呼び、その熟成法を仕次ぎという。カメに、年数を経た順に一番、二番、三番などとして古酒を貯蔵し、一番の古酒をとり出したら二番の古酒をつぎ足し、二番の古酒には三番を足すといった具合だ。古酒はさわやかな香りで、味も年月を経たものほどまろやかである。

私は氷をいっぱい入れたグラスでオンザロックで飲むのが好きだが、沖縄の人たちは小さな盃でストレートで飲む。酒器もいろいろで、餅型の胴体に細長い注ぎ口があるカラカラーや、三日月型で携帯用の抱瓶(ほうびん)がある。抱瓶は両側の耳に紐を通してからだに巻きつけるもので、馬に乗るときに用いたという。いずれにしても沖縄にまた、100年、200年の古酒が生まれる平和が続いて欲しいと願う。

(岸朝子)