• きらら397の酒 (2000/02/14)

おいしい日本酒はよい水と米に恵まれた土地でつくられるといわれてきた。北海道は良質で豊富な雪清水に恵まれてはいるが、酒造に適する米はないと考えていたら、どういたしまして、最近では「きらら397」を使った酒が各種出回っていると聞き、早速有楽町駅前の交通会館に昨年夏にオープンした「北海道どさんこプラザ」に出かけた。

どさんこプラザは1階が食品で地下1階が日本酒、ワイン、焼酎の酒コーナーになっている。札幌の千歳鶴や北の誉、旭川の北海男山、空知に新十津川物語など、私が何回か口にした酒をはじめ15の酒蔵の銘酒が並んでいた。

北海道酒蔵組合統一銘柄の、その名もズパリ「きらら397」という酒や「きらら小町」といった酒もあった。旭川の「大雪の蔵」では純米吟醸酒から本醸造生貯蔵酒まで4種もの酒がきらら397からつくられている。

いずれもすっきりしたさわやかな味わい。冬が長いので酒の熟成が遅くアミノ酸が少ないために、どちらかといえば辛口タイプだ。日本酒特有の麹臭さがなく、ワイン感覚で飲めるところが現代人の嗜好に合っているようだ。旭川高砂酒造の「虚空」は、リンゴ酸酵母使用でアルコール度12%。私のようなのんべえには合わないが、甘酸っぱくてキレがよく女性に好まれそうだ。

ワインも十勝ワインをはじめ、小樽、富良野、夕張、千歳その他「ご当地ワイン」といってよいほど種類が多い。ワイン用ぶどう栽培では東洋随一といわれる浦臼ワインが並んでいないのは残念だったが、焼酎には北海男爵じゃがいも焼酎や中標津町のミルク焼酎をみつけて大満足。

澄んだ空気と水、北海道の大自然が育てる酒は、徐々に愛好者が増えてきているようだ。

(岸朝子)