昨年3月、政府は日本人の理想的な食生活を目指す「食生活指針」を発表した。ご存知のように高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病、がんなどのいわゆる生活習慣病は、悪い習慣が積み重なって生まれる。その多くは沈黙の病気といってよく、痛くもかゆくもなく静かに進行する。
ある日、会社の健診で中性脂肪やコレステロール、血糖値の高いことが指摘されて病院に行けばいいほうで、そのままほっておいて倒れてしまう例も多い。こうした病気にならないためには、悪い習慣を改善すること、一次予防が大切である。
悪い習慣とは、たばこの吸い過ぎ、酒の飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスの多い生活などであるが、最も重要なのは、食生活である。一番問題なのがエネルギー、つまりカロリーオーバーによる肥満で、高血圧や心臓病、糖尿病の原因になる。
お金さえ出せば食べたいものがいつでも食べられる時代である。マグロのすしは赤身よりトロがおいしいし、ステーキやとんかつもヒレよりロースがうま味があるのはいうまでもなく、好きに食べていれば太るのは当たり前だ。
一方で家事は電化され、自動車通勤は増え、地下鉄の昇降もエスカレーターとなると、運動量は昔に比較して、激減している。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、あまったエネルギーは脂肪となってからだに蓄積されるのは当然のことだ。肥満は糖尿病の誘因ともなる。 |