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韓国の朝食に思い新た  ご飯の話

2001年3月8日(木) 共同通信社配信

 高温多湿の気候が稲作に適していた日本では、「瑞穂(みずほ)の国」と呼ぶように古くから米は食生活の中心だったが、昭和30年代半ばをピークに米の消費量は減り始め、国民1人当たりの消費量は当時の約半分になっている。しかし、私はご飯が大好きなので、今回も米の話。

 日本人のエネルギー源は今や、米だけではなく、パン、パスタ、ラーメンなど砂糖や油脂を大量に伴って多様化しているが、気をつけなければいけないのは、栄養素が砂糖は98%が糖質、サラダオイルやバターなどもほとんどが脂質であるということだ。

 若い層ほど、米を減らしてそうした食べ物の摂取量が増えてきている。生活習慣病といわれる肥満や高脂血症が若い世代にも見られるようになるのは当然で、政府はあらためて「米などの穀類をしっかりとろう」と呼びかける事態となった。

 昨年の冬、韓国のソウル郊外の農家に一泊してキムチの漬け方を体験学習した。100個ほどの白菜を漬け込むパワーに圧倒されたが、なによりも朝ご飯の栄養バランスがよいのに感心。

 お米のご飯とワカメのみそ汁のほか、干しダラのピリ辛煮、野菜入り卵焼き、牛肉のつくだに風と、3、4種のキムチ。栄養バランスに優れた米を主食に、タンパク質やビタミン、ミネラルに富んだこれらのおかずを食べるのだから、パワーが出ないはずはないと納得したものだ。

 昔の日本の朝食風景を懐かしく思い出した。常備菜いろいろで、子どもたちがご飯をしっかり食べていた30年前のわが家では、6人家族で米5カップのご飯が売りきれたものだ。

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(イラスト 阿部早子)

 しっかり朝ご飯を食べて出かけていけば、午前中の勉強も仕事も集中できて能率も上がる。特に脳のエネルギー源は、血液中のブドウ糖(血糖)だけといわれるから朝食抜きは禁物。

 ひとり暮らしでどうにもならないという人は、おにぎり1個とゆで卵1個、牛乳1杯という食事でもよい。私はこれをコンビニ献立と呼んでいる。

 生活という字は「生きる」「活動する」の意味を持つ。生活するうえで必要なものはと聞けば、多くの人は「お金」と答えるであろうが、お金があってもエネルギー源がなければ、生きていくことはできないのだ。食料自給率がカロリーベースで40%といわれるわが国の将来も案じ、私は「ご飯を食べよう」と声を大にしている。

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