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ヘルシー志向強く21世紀は和食の時代  すしが必需品の米国訪ねて

2001年3月28日(水)

 2月中旬、アメリカ西海岸のロサンゼルスに出かけた。日系人を対象とした日刊紙「羅府新報」の月に一度の催しとして、リトル東京の中にある日米劇場で「沖縄の長寿食」というタイトルで講演した。

 一昨年の夏からアメリカのケーブルテレビで、私も審査委員として出演していたテレビ番組「料理の鉄人」が「アイアンシェフ」のタイトルで放映され、人気を呼んでいるということだ。もちろん英語の吹き替えで、私も流ちょうな英語で「おいしゅうございます」としゃべっているようだ。

 そのあと、ニューヨークに回ったが、しみじみ感じたのは恐ろしいほどのヘルシー志向。相変わらず大きな分厚いビフテキを食べているが塩味は薄く、ごまソースで食べる。ソフトクリームのごとく山盛りに絞り出されたマッシュポテトはわさび味といった具合だ。

 特にすしはレストランだけでなく、スーパーやデパートのテークアウトコーナーでも必需品となっているし、クッキーやパンのなかにはごまを使ったものが目立つ。パンもバターをたっぷり使ったクロワッサンより、イスラエルのかみごたえがあるベーグルが主流だ。脂肪、特に動物性脂肪が少なくコレステロールの心配もないというわけで、日本食やすしがインテリ層に好まれる。

 私は21世紀はしょうゆ、みそ、米酢などの発酵調味料の時代、和食の時代と考えているが、間違ってはいないようだ。しかし、日本人の食卓は米離れ、和食離れが進んでいる。

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(イラスト阿部早子)

 塩辛いおかずやみそ汁でどんぶりご飯を食べる食生活が日本人の国民病といわれた脳卒中や胃がんの原因になるということで、「もっと牛乳を」「もっと肉を」「もっと油を」と言ってきた料理記者45年の私は、食生活の大きな変化に戸惑っている。

 伝統的な日本の食卓に牛乳や肉、油などが加わった食生活のおかげで、日本人の寿命は世界一になったのだが、今は高血圧、高脂血症、肝臓病、がんなどの病気で悩む人が多い。

 特に糖尿病は40歳代の10人に1人といわれ、糖尿病が原因の腎臓(じんぞう)病や網膜症などの増加が懸念されている。団塊の世代と呼ばれる50代前半の人たちにこそ、バランスがとれた食事と運動で肥満を防ぎ、健康で愉快な老いを迎えてほしいと思う。

 いまからでも遅くはない。和食回帰をお勧めする。

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