2月中旬、アメリカ西海岸のロサンゼルスに出かけた。日系人を対象とした日刊紙「羅府新報」の月に一度の催しとして、リトル東京の中にある日米劇場で「沖縄の長寿食」というタイトルで講演した。
一昨年の夏からアメリカのケーブルテレビで、私も審査委員として出演していたテレビ番組「料理の鉄人」が「アイアンシェフ」のタイトルで放映され、人気を呼んでいるということだ。もちろん英語の吹き替えで、私も流ちょうな英語で「おいしゅうございます」としゃべっているようだ。
そのあと、ニューヨークに回ったが、しみじみ感じたのは恐ろしいほどのヘルシー志向。相変わらず大きな分厚いビフテキを食べているが塩味は薄く、ごまソースで食べる。ソフトクリームのごとく山盛りに絞り出されたマッシュポテトはわさび味といった具合だ。
特にすしはレストランだけでなく、スーパーやデパートのテークアウトコーナーでも必需品となっているし、クッキーやパンのなかにはごまを使ったものが目立つ。パンもバターをたっぷり使ったクロワッサンより、イスラエルのかみごたえがあるベーグルが主流だ。脂肪、特に動物性脂肪が少なくコレステロールの心配もないというわけで、日本食やすしがインテリ層に好まれる。
私は21世紀はしょうゆ、みそ、米酢などの発酵調味料の時代、和食の時代と考えているが、間違ってはいないようだ。しかし、日本人の食卓は米離れ、和食離れが進んでいる。 |