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生かされている命を大切に

2001年4月11日(水) 共同通信社配信

  「おいしく食べて健康長寿」をモットーにしている私の連載も最終回を迎えた。最後に私自身の食事をご紹介したい。

 大正12(1923)年、関東大震災の一ヶ月後に生まれたので、ことし誕生日をむかえると78歳となる。働き過ぎと飲み過ぎで顔面神経まひになったのと、中耳炎をこじらせた結果で2回だけ入院したが、あとはいたって健康だ。

 73歳までは老人健診も会社の健康診断も異常なしで「パスパス」だったが、5年前から血圧が上がり、悔しいことだが、朝夕1錠ずつ降圧剤をのんでいる。

 体重を6キロ減らせば薬はいらなくなると私自身もわかっているし、主治医にも言われている。さらにお酒とたばこをやめれば、体重も減るし、血圧も下がるであろうと分かっていてもやめられないのが人間の悲しさ、愚かさだ。

 お酒もたばこもやめないでどこまで健康長寿を保てるか、少々意地になっているところもある。

 私の食生活は、「四つの食品群」の復習になるが、朝はマグカップ1杯(約300ミリリットル)の牛乳を飲む。次にリンゴとグレープフルーツ各1個をミキサーにかけ、食物繊維ごと娘と分けて飲む。外食でとりにくい牛乳と果物は朝とっておくのだ。あとはパン一切れくらい。

 昼はご飯と野菜たっぷりの手作り弁当。

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(イラスト阿部早子

 ただ、打ち合わせなどでにぎりずしやどんぶり物の昼食になると、野菜はゼロに等しい。これは夕食で補うが、外食ならおひたしやあえ物のほか、冷やしトマト、里芋とイカの煮つけなど居酒屋風のメニューから朝昼の食事で不足しているものを補う。

 いちばんよいのはおでんだ。芋も豆腐も卵もあるし、昆布やコンニャクなど食物繊維の素材もある。

 緑黄色野菜がゼロの日は、トマトジュースで補うこともある。

 仕事が休みの日の朝は、納豆とみそ汁の和風定食を落ち着いてゆっくり食べる。炊きたてご飯に塩カラやめんたいこを一口のせて食べるとき、日本人に生まれてよかったと思う。

 この世の中、年寄りだからといって食べていけないものはない。食べ過ぎてはいけないのだ。「おいしく食べて健康長寿」を実行すれば、高齢化社会も明るく活力がある社会になると私は信じている。

 生かされている命を大切にしたいと思う。

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