高齢者が好んで食べるものにティビチ(豚足)があります。これはコラーゲンというゼラチン質ですし、これに昆布や野菜など取り合わせた煮物や汁物は栄養バランス満点とえいるでしょう。「沖縄では豚肉をよく食べるのに、コレステロールの心配はないのか」とよく聞かれますが、豚肉は煮物でも汁物でも塊のまま柔らかくなるまでゆでて使うため、余分な脂肪は除かれます。と同時に野菜や芋、海草などといっしょに食べることで、コレステロールなども排泄されるわけです。
沖縄特産の黒砂糖はお年寄りたちのお茶請けになりますが、ごま菓子やチンピン(沖縄のお焼き)、サーターアンダーギー(沖縄ドーナツ)などの甘みとしても使います。天然のミネラル、ビタミンが多いといわれてきましたが、最近では血清中のコレステロールや中性脂肪の低下作用があるという研究報告もあって、これも長寿に一役買っているようです。
それから、沖縄は果物の宝庫です。タンカンやパパイヤ、バナナ、パイナップル、マンゴーなどが実ります。シークヮーサー(ヒラミレモン)は3月ごろに花をつけ、初夏には小さな実となります。徳島特産のスダチに似ていて、幼果は酸味が強く、酢やレモンの代わりに使ったり、ジュースにして飲みます。冬には甘みが増してそのまま食べられます。ビタミンCが豊富で発ガン抑制作用があり、慢性リウマチの予防や治療にも効用があると聞きます。
長寿村・大宜味村はシークヮーサーの里とも呼ばれています。訪れた2月、ひっそりとした家々の庭にも、黄色に熟したシークヮーサーがたわわに実っていました。